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白鵬翔 06年NEWS15

 毎日新聞 5月 初日
<抜粋> 朝青龍、栃東、白鵬は白星発進
大相撲夏場所初日の7日、朝青龍は新小結・安馬の挑戦を豪快な上手投げで退けた。横綱を目指す栃東が会心の相撲で旭天鵬を押し出したほか新大関・白鵬も難敵の若の里を落ち着いてさばきともに白星発進。琴欧州と魁皇はそろって平幕力士に敗れた。

◇「心・技・体」充実 白鵬
新大関初日。今年初場所の琴欧州は、土俵入りのそんきょでぐらつき、取組でも敗れた。自分の思い通りにならない特別な日だが、白鵬には関係なかった。対戦相手の若の里には昨年名古屋場所まで6連敗。しかし白鵬はここ2戦、連勝していることが頭にあるのか、「オレの方が番付は上」と話し、合口は気にしていなかった。左足を思い切り踏み込む立ち合いは、この日の朝げいこで指南役の熊ケ谷親方と何度も目を合わせて確認。本土俵でもその通りにできた。だが相手も、3年以上三役を維持したつわもの。考えている。「立ち合いはよかった」と振り返る若の里。その動きを白鵬は「向こうも研究してきた。(前みつを取らせないよう)頭で当たって回り込んだな」と語る。しかし白鵬の圧力がまさったから、その後の動きに余裕があった。攻め切れない白鵬は2度、はたいたが、体勢を崩したのは若の里。横向きになったところを左でひと突き。土俵上で仁王立ちした。「体がよく動いた。余裕がなければ、あんな相撲は取れませんよ」と笑う白鵬。支度部屋でも他の大関を見て「琴欧州は相手を意識しているんだろう」「栃東は太ったかな」と、にわか評論家になり、大役をひとまず果たした開放感に浸った。21歳の若さがなせるわざか。4月末のけいこ総見の時には落ちていた筋肉をきっちり戻した。「自信を持っている」とは北の湖理事長の弁。「心・技・体」に気がかりはない。【上鵜瀬浄】

○白鵬・若の里● 得意の左は取れなかった白鵬だが、落ち着いていた。左のおっつけで若の里の体勢を崩し、横向きにさせて左突き落とし。  



 日刊スポーツ 5月 初日
<抜粋> 新大関白鵬は薄氷の白星/夏場所
新大関白鵬が初日を白星で飾った。過去2勝6敗の若の里を相手に、立ち合いで左上手を取れず、自分の形に持ち込めなかった。はたいて相手のバランスを崩し、最後は突き落とし。薄氷を踏む思いの勝利に「いやー、ホッとした」と苦笑いした。観客席には、モンゴル相撲の横綱2人が観戦に訪れており「いいところを見せたいと思っていた。負けられなかったよ」と振り返っていた。  



 中日スポーツ 5月 初日
<抜粋> 白鵬、大関1勝
新大関の白鵬(21)=宮城野部屋=は若の里を突き落としで破り、朝青龍は新三役の安馬を上手投げで下した。綱とりの望みが残る栃東は旭天鵬を押し出して白星スタート。琴欧州は稀勢の里に、魁皇は朝赤龍に敗れて2大関が黒星。新入幕同士の顔合わせは把瑠都が豊真将を寄り切った。新大関の場所。ましてや初日。緊張は当然だ。「プレッシャーなんてなかった。(体は)よく動いていた」。白鵬は、そう言って否定した。だが、動きがぎこちなかったのは誰の目にも明らか。それでも勝った。相手は2勝6敗と苦手意識を持つ実力者・若の里。そのかつての大関候補に、落ち着いた相撲で勝った。相手のおっつけ、いなしにも慌てず対処。「向こうは研究していた。左へうまく回られた。頭からきたのもいつもと違う」と白鵬。勝った瞬間、土俵上で大きく息を吐いた。この日、モンゴル相撲の横綱・ウスフバヤルさん(32)ら5人が、マス席から観戦していた。「どこにいたのか分からなかったが、覚えのある声がはっきり聞こえた」。子どものころから一緒にけいこに励んだ人たちの前だから、「絶対負けられないと思った」という。支度部屋では、テレビで琴欧州と稀勢の里戦をじっくり見ていた。将来、ライバルになりそうな2人の激しい相撲に「幕下から一緒に上がってきたんでしょ。稀勢の里が(琴欧州の)まわしをうまく切った」と好敵手の対戦を評した。大関昇進から1カ月半。「神宮での土俵入りや公式行事などと違って、場所の相撲が一番緊張する」。大関と呼ばれるのにまだまだ慣れていない。しかし、本番をたくさん経験することで地位が人をつくる。「きょう勝ったことは大きい。明日はもっと普通に勝てる」。白鵬が自信を見せた。 (近藤昭和)



 スポニチ 5月 初日
<抜粋> 新大関・白鵬が白星発進
大相撲夏場所初日は7日、両国国技館で行われ、白鵬が新大関の初日を白星で飾った。これまで2勝6敗と分の悪かった若の里を突き落としで下した。大横綱・双葉山の極意「後の先(ごのせん)」を目指す21歳が、初優勝へ向けて第一歩を踏み出した。また、綱獲りに挑む栃東も旭天鵬を押し出して白星発進した。 【初日取組結果】 土俵に上がると不思議と緊張感は消えていた。白鵬は新大関初日のプレッシャーを忘れた。若の里に負け越していることも「大関はそんなこといちいち考えてられない」と気にとめなかった。立ち合いでまわしが取れなくても焦らない。1度はたく動作を見せてから左に回り込む。「(下がったけど)余裕がなかったらそんなことできない」と落ち着き払った動きで強烈な左からの突き落としを決めた。相手を受け止めるようにして左上手をつかむのが本来の形。立ち合いの低い踏み込みは十分。危ない場面もなかった。しかし、まわしは取れなかった。だから100%の内容とは言えない。白鵬は「向こうも研究してきているんでしょうね」と少しだけ首をひねった。新大関が理想として描いているのが、大横綱・双葉山の得意とした「後の先」の立ち合い。受けて立つような後手のタイミングで立ちながら、実際には相手の機先を制して自分の体勢になっている。「双葉山の頃から相撲を見ているって人に“あなた似ているから”って先場所の初日に言われたんだ」という白鵬。春場所の終盤は、その「後の先」を意識して相撲を取ったという。「やってみたら良かった」と白鵬は得意げに笑った。体の柔軟性に頼って受け身になりがちと言われる白鵬だが、そんな高みを見つめて相撲を取っている。まだ遠くにある境地を求めながら、新大関は優勝のために勝利をつかんでいく。  



 スポーツ報知 5月 初日
<抜粋> 
◆大相撲夏場所初日 ○白鵬(突き落とし 5秒2)若の里●(7日、両国国技館)

 モンゴル出身の新大関・白鵬(21)=宮城野=が白星発進。西2枚目・若の里(鳴戸)を突き落として、念願の初優勝へ向け幸先のいいスタートを切った。4度目の綱取りに挑む東正大関・栃東(29)=玉ノ井=も東小結・旭天鵬(大島)を会心の押し相撲で圧倒する好発進。エストニア出身の西11枚目・把瑠都(三保ケ関)は東同・豊真将(錣山)との新入幕対決で圧勝した。魁皇(友綱)と琴欧州(佐渡ケ嶽)の2大関は黒星スタート。大物は自分の形になれなくても、冷静さは失わない。白鵬は狙いの左前まわしを若の里に取らせてもらえず、引いた。だが、左からおっつけながら回り込み、右から相手の首筋をはたく。泳いだ相手を左手でひと突き。土俵下に転落する難敵を見下ろす姿には、ゆったりとした余裕があった。一生に一度きりの大関のとしての門出。西の花道では来日中のモンゴル相撲の猛者たちから祝福を受けた。得意の右四つで左上手を引く形にはならなかったが「向こうも研究してきたんでしょう。余裕がなかったら(こういう相撲は)できないよ。緊張しなかったのが大きいと思う」と2勝6敗と苦しめられていた相手を退け、納得の表情。先場所に比べて「体重が3、4キロ減ったかな。体の動きが良くなった」と好調も感じていた。昨年7月に痛めた左足首は、今でもうずく。特に初日のような雨模様の日には。朝げいこの後、熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)が話した。「天気予報よりよく当たるんだよ。明日は雨だなってね。ジクジク痛み出す足が教えてくれるらしいんだよ」。負担を軽減するには、腰を下ろして左足で踏み込み、下がらないこと。痛みと付き合いながらも、理想とする立ち合いは手中に収まりつつある。夜の街での姿をついに週刊誌にとらえられた。朝のけいこ場では「おれもこんな立場になっちゃったんだな」と苦笑しながら有名人の仲間入りを実感していた。新大関初優勝なら注目度倍増は間違いなし。気を良くさせてくれる騒がれ方ならば、望むところだ。  



 中日新聞 5月日 初日
<抜粋> 新大関白鵬に迷いなし 慌てず攻め主導権
心の状態がそのまま投影される白鵬の立ち合い。注目はその一点だった。平常心なら腰をきちんと割って低く踏み込むが、動揺があれば腰高にフワッと立ってしまう。新大関初日の立ち合いに、迷いはなかった。若の里相手に、左足で鋭く踏み込んだ。得意の左上手は取れなかったが慌てない。前へと圧力をかけて主導権を握り、引き技にばたつく相手を左から思い切り突き落とした。「緊張しなかったのが一番大きい。だから体が動いた。(突き落としも)余裕がなかったらできない」。右の相四つでかつて6連敗したが、昨年秋場所の初勝利から3連勝。苦手意識は昔の話。逆転した実力差をそのまま土俵でみせつけた。平成に入り、休場を除く新大関12人のうち5人が黒星発進している。新大関と初日の重圧。白鵬も土俵下の控えに入ると緊張感に襲われた。ところが「土俵に上がったら、自然にそういうのがなくなった」という。21歳には確実に自信が芽生えているのだろう。この日の朝げいこでのこと。先場所から3、4キロ体重が減ったというが「本土俵では大銀杏(おおいちょう)を結うから体は大きくみえる。大関として相撲を取るからもっと大きくみえるよ」と笑い飛ばした。新大関の激励を兼ねて来日しているモンゴル相撲の現役横綱らが国技館を訪れた。その目の前での快勝。「場所前に一緒にけいこしたから、いいところをみせないとね」。自信とプライドで、第一関門を突破した。 (高橋広史)  



 サンスポ 5月 初日
<抜粋> 
かたさはない。慌てない。1度しか経験できない新大関の門出の土俵。白鵬が落ち着いて、立ち合いの呼吸をあわせる。下半身は、最後まで乱れなかった。狙った左前まわしは取れなかったが、若の里の頭を右手で押さえつけてはたく。後退はしたが、横向きになった相手を左手で土俵下へ突き落とした。「相手に研究されていたけど低く当たれた。緊張はしなかったし、体はよく動いた」。これまで2勝6敗と苦手にしていた難敵を余裕を持って攻略。「大関になったから、(分の悪さは)考えていなかった」。気持ちも高見に置いて、見下ろした。母国の英雄の目の前で、恥をさらすわけにはいかなかった。モンゴル相撲(ボフ)の年に1度の全国大会(ナーダム)で、5連覇を含む6度の優勝を誇る父ムンフバトさん(64)のまな弟子で、モンゴル相撲の現役横綱ウスフバヤルさん(32)がマス席から声援を送ってくれたからだ。来日中のウスフバヤルさんとは、場所前に3日間、まわしをつけてけいこもした。「一生懸命けいこをしたので、負けられないと思った」。白鵬が幼かったころ、ウスフバヤルさんと遊びで何度もモンゴル相撲を取ったが、いつも軽くあしらわれた。現役横綱は8日にモンゴルへ帰国するが、成長した姿を見せたかった。「初日が出て、ホッとしたよ」。貴ノ花(のち貴乃花)、大鵬、北の湖の歴代名横綱に続き、昭和以降では4位となる21歳0カ月で大関の座を手に入れた。だが、ウスフバヤルさんは「今場所、(白鵬は)優勝できる。横綱になってほしい」と期待を込める。あこがれの先輩の期待は裏切らない。(江坂勇始)
◆若の里
「勝ちたかったけど仕方ない。負けてもいいから、攻める相撲を取りたかった」  



 日刊スポーツ 5月 初日
<抜粋> 新大関白鵬白星「ホッとした」
白鵬が苦しみながら初勝利を挙げた。若の里に立ち合いにまわしを取れず、後退しながらはたいて右へ回り込み、最後は右手で突き落とし。バタつきながらも白星は手放さなかった。「いやー、ホッとしたよ」と苦笑い。それでも「緊張しなかったのが大きい。余裕がなかったら(回り込むのは)できないよ」と精神面を勝因に挙げた。場所前は不安だらけだった。けいこを再開した27日朝、安馬との申し合いで足を滑らせ、古傷の左足首を痛めた。昇進後の行事に忙殺され、体重も3~4キロ減った。前日6日には「あと2日欲しい」と漏らしていた。初日の若の里は過去2勝6敗と分が悪い相手だった。逆境の中での初日にも「土俵に上がれば関係ない。大関だから、そういうこと(対戦成績)もいちいち考えないよ」。新世代の旗手として、周囲の注目も日増しに高まる。場所後の6月20日には早稲田大学から依頼を受け、モンゴル人力士を代表して講演会を開くことが決まった。果たして講演を「優勝スピーチ」にすることができるのか? 白鵬が真価を問われる場所が始まった。【太田尚樹】  



 朝日新聞 5月 初日
<抜粋> 白鵬、堂々引き技 大関の重圧楽しむ
勝ち名乗りを受けた白鵬が、ふーっと大きく息を吐いた。「勝ててほっとした。硬くならなかったのが、一番大きかったね」。大関の役目をまずは果たした。過去2勝6敗の若の里に、得意技から仕掛けた。胸から当たり、長い左腕を下から伸ばす。だが、やや右寄りに当たられて、まわしはつかめなかった。攻め手を奪われる前に、すかさず右からいなす。体を大きく泳がせると、はたきを繰り返し、最後は右肩を突いて、手をつかせた。 朝から気負いは見えなかった。10人以上の報道陣に囲まれても笑顔を絶やさず、「大関として相撲を取るから、体がもっと大きく見えるかな」。新大関の重圧に押しつぶされるのではなく、楽しもうとしていた。 相撲内容は「満点」ではない。「踏み込みが遅い」。朝げいこで、部屋付きの熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)から言われた課題は残った。北の湖理事長も「ああいう風に、はたいたりいなしたりしていると、立ち合いまでしっくり来なくなる」と苦言を呈した。 もっとも、新大関の初日はなかなか難関だ。過去10年では、千代大海から琴欧州まで8人で3勝4敗1休。相撲にならなかった琴欧州を思えば、まあ及第点だろう。 「余裕が無かったらああいう相撲(引き技)は取れない」。苦手にしていた元大関候補を退け、堂々と言ってのけた21歳。新大関初日にして、大物感を漂わせた。



 デイリースポーツ 5月 初日
<抜粋> 新大関・白鵬は白星スタート
大相撲夏場所初日(7日・両国国技館)、新大関の重圧を白鵬が見事にはね返した。花道でモンゴル勢に出迎えられると、険しかった表情を少し崩した。「大関は相手を気にしてはいられないよ」。かつて苦手にしていた若の里に3連勝。実力の違いを見せつけた。左前まわしをとる得意の形は不発だった。相手に回り込まれ、まわしに左手が届かない。それでも前に出る若の里をはたいて体勢を崩し、最後は突き落とした。万全の内容ではないが、しっかりと白星をつかんだ。この日は、モンゴル相撲の横綱ウスフバヤルさんとスフバットさんが観戦した。本場所前に一緒にけいこをこなしたこともあり、「こりゃ負けられないな」と発奮。8日に帰国する盟友に勝利をプレゼントした。ライバルの大関琴欧州も敗れた新大関の初日をクリアした。「ホッとしました。明日からいい相撲をとります」。悲願の初優勝へ、まずは好スタートを切った。  



 日刊スポーツ 5月 2日目
<抜粋> 連勝発進に意気揚々の白鵬/夏場所
新大関白鵬(21)にエンジンがかかってきた。しぶとい前頭2枚目朝赤龍を立ち合いで受け止め、左上手も引いた万全の体勢から寄り切った。前日の若の里戦は引いて勝ったが、この日の取り口には「寄り切ってますからね」と満足した様子。「左を取りたいんですよ、そこから右を差してね」。目指す相撲もはっきりしている。連勝スタートで内容も上向き、意気揚々と引き揚げた。  


 毎日新聞 5月 2日目
<抜粋> 
○白鵬 (左で前みつを取るのは)意識して取っている。  



 サンスポ 5月 2日目
<抜粋> 
○…白鵬(万全の相撲で2連勝)「昨日よりちょっと体が場所になじんできた」  



 サンスポ 5月 2日目
<抜粋> 
朝赤龍を寄り切り連勝発進の白鵬
「思ったより下から入れた。けいこでもなかなかできない形だった」
  



 日刊スポーツ 5月 3日目
<抜粋> 白鵬、納得の取り口で3連勝
新大関白鵬(21)が3連勝した。モンゴルの先輩の小結旭天鵬を寄り切りで下した。立ち合いすぐに左前まわしをつかみ、右も差すと一気に寄って出た。1度はこらえられたが、体を左右に振って相手のバランスを崩しながら再度寄った。「自分では褒められるほどいいとは思えなかったけど」と言いながらも、支度部屋でVTRを見直すと、納得顔でうなずいた。4日目は、19歳の前頭筆頭稀勢の里の挑戦を受ける。  



 毎日新聞 5月 3日目
<抜粋> 
○白鵬 (横綱の休場で大関としての責任を感じるか、の質問に)そんなこと言わないでよ。  



 スポニチ 5月 3日目
<抜粋> 
≪白鵬難なく3連勝≫新大関・白鵬が危なげない取り口でモンゴルの先輩、旭天鵬を下した。立ち合いで左前ミツを奪い相手の上手を切って一気に運び、上位では千代大海と並んで3連勝発進。支度部屋では昇進場所の重圧を感じさせない雰囲気を漂わせているが「左が速かったが、ビデオを見たら立ち合いが高い」と反省点も口にした。朝青龍休場で初優勝のチャンスも広がったが「まだ早いよ」と1日一番に集中する姿勢をみせた。  



 スポーツ報知 5月 3日目
<抜粋> 
横綱土俵入りのない3日目。偉大なヒールが消えた国技館には喪失感が漂った。挑戦を楽しみにしていた白鵬も「朝聞いてびっくりしたよ」と戸惑い気味だった。北の湖理事長(元横綱)は「白鵬の安定感は目立つが、誰が先頭を走って引っ張っていくかは中日までは分からないでしょう」と話す。綱抜き場所は、戦国場所となるかもしれない。  



 サンスポ 5月 3日目
<抜粋> 白鵬“鬼の居ぬ間”に初Vのチャンス到来
白鵬と朝青龍…モンゴルの勇者に明暗が分かれた。白鵬は立ち合いで左前まわしをつかみ、上手を取ると、右四つ十分の体勢で旭天鵬に体を預けて寄り切った。力の差を見せつける圧勝だった。「まわしを取るのが思ったより早かった。でもテレビのVTRを見たら、立ち合いが高かった」。完璧な相撲でも、反省は忘れない。地に足のついた新大関に、すきは見当たらない。午前中に思わぬニュースを聞いた。朝青龍の休場だ。「朝に聞きました。びっくりした」。モンゴルに帰国した先月19日にウランバートル市内のホテルで大関昇進報告パーティーを催したが、帰国していた朝青龍が駆けつけてくれた。日本に戻ってからも、新小結安馬と3人で大関昇進を記念して酒を酌み交わした。物心ともに世話になっている横綱の突然の休場にショックを受けたが、これは同時に未曾有のチャンスでもある。大関昇進後も浮かれることなく「優勝したい」とさらなる目標を掲げてけいこに励んできた。最近2場所連続で賜杯に肉薄しながら果たせなかったが、自他ともに認める最強者の離脱で優勝の可能性が広がった。「初優勝? プレッシャーをかけないで」。全勝は4人に絞られた。栃東は2敗目を喫し優勝争いから早くも脱落した。賜杯を阻む敵は見当たらない。新大関場所での優勝は昭和以降5人だけで、平成14年初場所の栃東を最後に出ていない。白鵬が“鬼の居ぬ間”に夢をつかみそうだ。  



 日刊スポーツ 5月 3日目
<抜粋> 白鵬盤石の相撲で3連勝
大関白鵬(21=宮城野)が盤石の相撲で3連勝だ。小結旭天鵬(31)を十分の体勢から、難なく寄り切った。横綱朝青龍(25)が右ひじ負傷で休場し、大関栃東(29)は綱とり絶望の2敗目。V争いのライバルが早々と目標を失う中、優勝未経験の白鵬に、昭和以降6人目の新大関Vの期待がかかる。3日目にして早くも、場所の主役が絞られてきた。静から動へ-。一連の動作に一分のスキもない。どっしり腰の据わったそんきょの構えから、土俵に手をつく。次の瞬間、白鵬は、ためていた力を一気に爆発させた。左腕を伸ばすと、もう前まわしは自分のものだった。右四つから旭天鵬を引きつけての寄り。1度は残されたが慌てない。体を左右に振って相手の体勢を崩すと、再度の寄りでねじ伏せた。落ち着き払った姿は支度部屋でも同じだ。あくびを交えながらの報道陣とのやりとり。「(左まわしをつかむのが)思ったより早かった」と、人ごとのように振り返る。とても「5人目の大関」には見えない。風格さえ漂わせる。白鵬をそう成長させた出来事が、1カ月ほど前にあった。自身初の7連勝を決めた先場所7日目の夜のこと。大関どりと初優勝を意識し始め、生まれて初めて寝付けなかった。その硬さに気付いた床山の床蜂(51)から「オレは横綱北の湖の髪も結っていたから知っている。あの人は、もっと厳しい立場の中で取り続けていた。まだ横綱でもないくせに一丁前に硬くなるな」と背中をたたかれ、重圧から解放された。この日も「緊張した?」の問いに、首を横に振り「朝げいこをちゃんとしているから」と答えた。大横綱の経験談と、けいこに裏付けされた自信が重圧を払しょくしている。先場所苦杯をなめた朝青龍は休場し、栃東は綱とりの大目標を失った。今場所の見どころは、早くも新大関Vに絞られた。横綱不在で大関の責任が増し、優勝を意識してもおかしくないが「ヘヘヘッ。そんなこと言わないでよ」と余裕を持って受け流す。もう白鵬には、1人で主役を張る力量と風格が備わっている。【瀬津真也】  


 読売新聞 5月 3日目
<抜粋> 
唯一、安定しているのが21歳の白鵬だが、キャリア不足は否めない。「優勝争いの中心にいるのは白鵬だろう」と言う北の湖理事長も、「大関次第では予想もつかない事態もある」と“乱戦”の不安を口にした。  



 毎日新聞 5月 4日目
<抜粋> 
○…白鵬がさすがの貫禄相撲で4連勝。元気な稀勢の里に左上手を取らせてもらえず寄り立てられた。しかし、ねじこんで下手を引くと、投げで横転させた。「立ち合いは合わないまま立った。落ち着いて取れた」と取り口同様落ち着いた話しぶり。投げられてもまわしを離さない執念をみせた稀勢の里を「負けたくないという気持ちは伝わった」と感心していた。  



 日刊スポーツ 5月 4日目
<抜粋> 白鵬、稀勢の里の健闘たたえる
新大関白鵬(21)が、好調な稀勢の里(19)とのフレッシュ対決で圧勝した。予想通りの白熱した一番になった。まず、稀勢の里が突っ掛けて待った。直後の立ち合いは、稀勢の里が踏み込んだ。白鵬は左足を俵にかけて残し、左下手から横に振るような投げを豪快に決めた。白鵬の切れ味に投げられた稀勢の里は、右のまわしを放さず、白鵬も土俵下へ。すぐに起き上がり、健闘をたたえるように稀勢の里の腰を軽くたたいた。「(相手も)負けたくなかったんだね」と、静かな口調。幕内では初顔合わせも、幕下時代の03年秋場所13日目に対戦しており、取り直しの末に切り返しで白鵬が勝っている。「その時から強くなると思ってたよ」。4連勝を飾り、悠々と引き揚げた。  



 サンスポ 5月 4日目
<抜粋> 
白鵬、鮮やか下手投げ!稀勢の里を下す
白鵬は初顔合わせで19歳のホープ稀勢の里を下した。1度待ったの後の立ち合いで土俵際まで寄られたが、左から鮮やかに下手投げを決めた。「立ち合いは相手が下向いていたんで合わなかった。左四つは予想していなかったけど落ち着いていた」と余裕の表情で振り返った。  



 スポニチ 5月 4日目
<抜粋> 白鵬 押し込まれても余裕の快勝
白鵬が幕内で初顔合わせとなった稀勢の里を下した。俵まで押し込まれたところで左四つに組んだ。「落ち着いて取れました」とそこから下手投げを打って勝利。幕下時代の03年秋場所以来の再戦で力の差を見せ「昔から強くなると思ってた。必死で攻めてきたな」と振り返った。4連勝については「まあ頑張るよ」と淡々としていた。  



 スポーツ報知 5月 4日目
<抜粋> 白鵬に死角なし 稀勢の里をねじ伏せる
大相撲夏場所4日目 ○白鵬(下手投げ)稀勢の里●(10日・両国国技館) 白鵬が、不在の朝青龍に代わって“横綱相撲”を見せた。ケンカ四つの稀勢の里に狙った左上手を封じられて左四つ。だが、懐の深さで相手に上手を取らせない。決着をつけるには左下手だけで十分。ねじ伏せるような投げで格の違いを見せた。幕下時代の03年秋場所に勝って以来となる約3年ぶりの和製ホープとの対戦。「幕下の時から強くなると思っていた」と実力は認めており「左四つは予想していなかった」と振り返ったように、立ち合いで差し負けたのも珍しい。だが、本人が思った以上に開いていた力の差は結果に表れた。「負けたくない気持ちが強かったんでしょう」と、最後の最後まで左下手を離さなかった相手の執念を褒めたたえた。早寝早起きで規則正しい生活を貫き、朝げいこも休まない。「夜はよく眠れています」と余裕の表情。夏場所の主役となった21歳に死角は見当たらない。  



 朝日新聞 5月 4日目
<抜粋> 土俵際まで白鵬攻めた 稀勢の執念、あと一歩
稀勢の里は時間前から気迫をみなぎらせていた。仕切り線で手をつくと5秒ほど、白鵬をにらみつける。新大関に、堂々と挑戦状をたたきつけた。いつものように下から左まわしを取りに来た白鵬を、右で押し込んで起こす。大関の得意手を封じた勢いそのままに左を差しきって足を運び、白鵬を土俵際に追いつめる。館内が歓声と悲鳴に包まれた。 ただ、最後の最後に詰めを誤った。おっつけていた右で安直に上手を探り、逆に白鵬に下手を与えてしまう。大関に逆転の投げを食った。 それでも、ただでは転ばなかった。ひじが砂についても右まわしをつかんだまま。白鵬も土俵下に道連れにした。 けがの危険を考え「投げられたら、まわしを離す」のがプロの心得。だが白鵬は「危ないよ」と言いつつも、稀勢の里の執念をたたえた。「それだけ負けたくないと意識したんじゃないか。必死で攻めてきていたよ」 北の湖理事長は「力になる負け。稀勢の里が三役に定着するくらいになると、面白い顔合わせになるね」と賛辞を贈った。 「負けは負けなんで。明日から頑張ります」。への字口のまま、多くを語らなかった稀勢の里。自己最高位の平幕筆頭での今場所。7月3日が20歳の誕生日なので、10代最後の本場所だ。この日朝、「番付の一つ上には三役しかない。頑張りたい」と話した。成人とともに平幕を卒業、という決意を示す奮戦だった。   



  5月 5日目
<抜粋> 
◇「負けて覚える相撲」に 白鵬
白鵬が相撲を開眼したのは初場所の雅山戦だ。左足で踏み込んで長い手で左横みつを取る型。得意の右四つになるための方法の会得が躍進につながっている。その相手に同じ型になった。「勝負あった」である。「あそこは寄っていくのが一番安全」と北の湖理事長。さてどうするかと見ていたら出し投げを繰り出した。幕内最重量を寄るのは骨が折れるからだろう。ただ叩きつけるように打て、という理屈通りの出し投げだった。だがこの瞬間まわしが切れた。雅山の重さもまわしを離す一因で、これが逆転につながった。「まわしを離しちゃった。最後まで力を抜いちゃいけませんね」と嘆いても後の祭だった。改めて素質の高さを物語るのだが、もうひとつの誤算は投げの切れがよすぎたことだ。入幕2場所目に追風海をつり出そうとして自分の足を先に出したことがある。手痛い1敗は新大関にはまたもや「負けて覚える相撲」となった。  



 日刊スポーツ 5月 5日目
<抜粋> 白鵬は初黒星に「泣きそうだよ」
新大関白鵬(21)が初黒星を喫した。雅山(28)との全勝対決で、立ち合いから左上手を引いて得意の右四つに組みとめた。そこから左の出し投げで勝負あったかと思われたが、くるりと1回転した相手に向き直られ、逆転の突き落としで土俵に転がった。「(左上手を)離すのが早すぎた。泣きそうだよ」と苦笑いを浮かべていた。6日目は琴奨菊と対戦する。  



 サンスポ 5月 5日目
<抜粋> 雅山が捨て身の白星奪取!白鵬との新旧大関対決制す
もう「過去の人」とはいわせない。元大関の執念が、新大関の勢いを上回る。雅山が新旧大関対決で底力をみせつけた。最初の立ち合いで呼吸が合わなかった雅山は、突き放せず、白鵬に左上手を許してしまう。左から出し投げを打たれ、そのまま土俵際へ追い込まれたが、「あれしかなかった。捨て身だった」という左からの強烈な突き落とし。物言いがついたが、軍配どおりで白星をもぎとった。「最後は正直いって、半信半疑だった。もう1回はきついので、できればそのまま決まってほしかった」。いつもは得意のギャグを連発する支度部屋だが、久しぶりに上気した笑顔を振りまいた。“屈辱のVTR”が雅山の闘争本能に火をつけた。初場所10日目。立ち合いで白鵬に左前まわしをとられ、いっきに前に出られた。白鵬はこの一番で“開眼”したと宣言。春場所11日目まで破竹の18連勝。白鵬が大関昇進を果たすと、ターニングポイントとなったこの雅山戦が、何度もテレビで流されるようになった。すっかり引き立て役に回った雅山は「あの映像を見ると、テンションが下がる。オレが勝った相撲もあるのに…」と気持ちを奮い立たせた。幕下付け出しの初土俵から所要12場所のスピード出世で、平成12年夏場所後に大関に昇進。だが、その後は故障に泣かされ、8場所で陥落した。それから5年の歳月が流れたが、ここ3場所連続で3大関を撃破。今場所もすでに2大関に土をつけた。「大関時代は嫌な思い出しかなかったけど、いまは楽しい。(上位に)外国勢も多くなったから、頑張ろうと思う」。まだ、28歳。もう一花、咲かせるとき。時間は十分にある。 
白鵬が初黒星「ショックだよ。泣きそうだ」
白鵬が土俵際で雅山の逆転の突き落としを食って、新大関として初黒星を喫した。得意の左上手を取って十分の体勢になったが、「最後は失敗した。出し投げで(崩して)安心してしまった」と淡々。平成14年初場所、栃東以来となる新大関初優勝へ、この黒星を引きずるわけにはいかない。「ショックだよ。泣きそうだ。夜も眠れないよ」と苦笑いを浮かべる余裕もあった。 



 中日新聞 5月 5日目
<抜粋> 白鵬 1敗も悠然
勝利がスルリと手の中からこぼれ落ちた。白鵬が土俵際に寄っていき、左から上手出し投げを打った。だが手を早く離しすぎて、雅山が息を吹き返してしまった。最後は左からの突き落としで逆転されたのだ。物言いがついたが、それは確認のため。放駒審判部長(元大関魁傑)は「雅山の足が残っており、軍配通りで雅山の勝ちです」と場内に説明した。白鵬は支度部屋に戻ってきて「(自分が)先に落ちたから」と納得の表情を見せた。「それにしても勝負は最後まで分からないなあ」とぽつり。勝負で負けたのだから悔しいだろうが、それをおし隠して表面は平静を装った。「立ち合いは完全に勝っている。出し投げが失敗だ。まわしが離れて、自分で墓穴を掘った。前に持っていった方が安全だったな」と北の湖理事長(元横綱)は敗因を分析したが、白鵬にとっては勉強の一番になった。序盤の5日間を4勝1敗。最近大関に昇進した雅山、魁皇、栃東、朝青龍、琴欧州のうち序盤の1敗以内で通過したのは栃東、朝青龍(ともに全勝)の2人。栃東は優勝を果たしているが、それらに続く成績だ。白鵬は「まずまずで、いいんじゃあないですか」と淡々としたもの。横綱朝青龍が不在場所での“主役”は悠然としている。 (近藤昭和)  



 スポーツ報知 5月 5日目
<抜粋> 白鵬が大関1敗
大相撲夏場所5日目(11日・両国国技館) モンゴル出身の新大関・白鵬(21)=宮城野=が初黒星を喫した。西関脇・雅山(28)=武蔵川=との4連勝対決で、逆転の突き落としを食らい4勝1敗。念願の初優勝へ向け、“勉強の1敗”となった。雅山は魁皇に続く2人目の大関撃破で、東大関・千代大海(九重)とともに5連勝。東大関・栃東(玉ノ井)は新小結の安馬(安治川)に初白星を献上して3敗目。綱取りは完全消滅した。色白の広い背中に、砂がベトリとついた。結びの一番の軍配は東、雅山へ。「自分が先に落ちたんだな」物言いはついたが、確認だけ。白鵬は潔く結果を受け入れた。立ち合い、狙いの左前まわしは取れなかったが、右下手を取ってから左上手を引いた。手順は違えど、“未来の横綱”が築き上げた不沈の形を作った。だが、幕内最重量の182キロを運ぶのは重い。ならば、と放った左からの上手出し投げが誤算。制動が利かず、まわしが手から離れた。残して向き直った雅山に追い打ちをかけたが、徳俵上での突き落としを食らって左肩から落ちた。4日目の稀勢の里戦で下手投げを放った直後、左足首の古傷がうずき出した。この日の朝げいこはシコだけにとどめた。毎年正月に座禅を組む横浜・興禅寺の住職が励ましに来ていた。「足に痛みがあるときこそ気持ちを集中させなさい」ありがたい言葉をいただいた。放駒審判部長(元大関・魁傑)は「大関らしい相撲は取っている。一つつまずいても崩れることはないだろう」と話した。帰り際、苦笑いしながら発した「今日は眠れないや」のひと言が、逆に不思議な余裕を感じさせた。  



 スポニチ 5月 5日目
<抜粋> 
もう刺し身のツマになるのはごめんだ。まわしを取られて出し投げに体が泳ぐ。雅山は完全に白鵬にほんろうされていた。しかし、安易に体を寄せてきた相手に、最後の最後で捨て身の突き落としを決めた。物言いはついたが軍配通り。初優勝を目指す新大関に土をつけた。「あれしかなかった。久しぶりの独特な雰囲気。珍しいけど、何も覚えていない。懸賞を何に使おうかなということぐらいかな」。風体も物腰もどっしりとしている雅山が少しだけ興奮していた。これまでは、白鵬の引き立て役に回るのが常だった。初対戦では「フワッと当たってきて体が吸収される感じ。押していくと力が吸い取られる」と白鵬の特長を初めて言語化。口は災いの元。その後も事有るたびに白鵬の強さを尋ねられた。今年の初場所では、自分と対戦した際に白鵬が立ち合いに開眼。大関に昇進するきっかけをつくった。この日の出番前はテレビで過去の対戦が流れたが「勝ったのと負けたのと両方やってくれると思ったけど大関の勝ったシーンだけ。出番前にテンションが下がった」とすねて周囲を笑わせた。2大関1関脇を破っての5連勝に北の湖理事長も目を見張るばかり。「万が一全勝したらどういう話題になるか分からないよ。関脇での全勝なら価値がある」と今場所後の大関再昇進の可能性まで示唆した。雅山は「注目されている一番は燃えます」と頼もしい一言。高まる注目とともに、そのパワーも日増しに高まっていく。

≪白鵬ショック≫白鵬が土俵際で雅山の逆転技を食らい、新大関としての初黒星を喫した。右四つから左上手出し投げを打ったのが敗因。体が離れてしまい「頭を押さえつけて投げればよかった」と悔やんだ。物言いがついたが「(自分が)先に落ちたと思った」。それでも最後は「最後まで勝負は分からないね。ショックだよ。夜も眠れないよ」と表情はさばさばしていた。   



 読売 5月 5日目
<抜粋> 厳しさ足りぬ白鵬、楽な方へ流れた結果の黒星
大相撲夏場所5日目(11日・両国国技館)――悔しさを通り越し、苦笑いするしかないようなポカだった。白鵬は「勝負が終わるまでは力抜いたらダメってこと……」。九分九厘勝っていた相撲だから、嘆きにも切迫感がない。大関キラーと呼ばれる元大関、雅山と4連勝同士での対決。新大関は、立ち合いから万全の形になった。得意の左上手を引き、後は前に出るだけ。だが、相手が幕内最重量182キロだったから迷いが生じた。「たぶん重いと思ったからじゃないかな」。前に出るのをやめ、左出し投げ。雅山が簡単に泳いで後ろ向きになったから、ますます油断したのだろう。喜んで前に出た土俵際、相手の苦し紛れの突き落としで、あおむけにひっくり返った。北の湖理事長は「白鵬の取りこぼし。前に持っていく方が、いかに安全かということ」と一刀両断。早く勝負を決めたかったのだろうが、楽な方へと流れた結果が、この黒星だ。大関昇進後は多忙を極め、やや調整不足のまま迎えた場所。新大関の重圧や左足首の故障などの不安要素をものともせず、初日から順調に白星を重ねた。横綱不在の土俵を引っ張る存在であることに変わりなく、後を引く負け方ではない。だが、厳しさもどこか足りない。時々感じる、この“軽さ”が気になる。(向井太)  



 デイリースポーツ 5月 5日目
<抜粋> 新大関白鵬は油断の1敗…
大相撲夏場所5日目(11日・両国国技館)、白鵬が新大関として初黒星を喫した。左前まわしを取る得意の形から、左出し投げを放ち雅山の体勢を崩したが、とどめの寄りにいった瞬間、まさかの突き落としを決められた。「こういうことは何回もあったけどね。あ~泣きそう」。左出し投げの後、まわしを放してしまったのが敗因。「よしっと思っちゃった」と悔しさをにじませた。序盤5日間は4勝1敗で終えたが、「次の5日間は5連勝しないとね」と、油断で落とした一番を今後の糧にするつもりだ。  


















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